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「あたたた」
雑草の束を置いた私は、体が痛むのを自覚しながらも伸びをする。
この体は見た目通り未だ幼い。
それで野山で仕事をすると筋肉痛になってしまうのだ。
仕事内容がほぼ肉体労働である為、仕方ないが。
「おい、昼飯にするぞ。って何をしている」
戸口からひょいと顔を出し、私を呼ぶネイは伸びをする私の姿を見て、首を傾げる。
そして、一つの答えに行き着いたのだろう、合点がいったかのように手を打つ。
「なるほど、筋肉痛か」
その後、ネイと昼食を食べながら、筋肉痛について話をする。
「そう言えば、お前さんはまだ生まれたばかりだったか。普段話していると、どうもその感覚が薄れていかんな」
その言葉に、私も同意する。
「私も何の気なしに今までと同じようにしていたんですが、その結果が、この筋肉痛ですよ。当たり前のことですが、まだまだ貧弱ですね」
溜息をつく私を見て、ネイは楽しそうに笑う。
「魔法を使えても、体が育ってなくては宝の持ち腐れだな。儂は長くこの生活をしているが、筋肉痛なぞ、一回としてなったことないぞ」
そう言って、老人はスプーンを私に向ける。
「午後になったら、体の鍛え方と回復魔法について教えてやろう。回復魔法さえ使えれば、筋肉痛はすぐに治る上に、怪我も怖くない。覚えておいて損はないぞ」
回復魔法を使う人と出会うことが無かった為か、この世界には回復魔法は存在しないものと思っていたが、どうやらそうではないようだ。
「おお、宜しくお願いします」
私はネイの提案に二つ返事でこたえるのであった。
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