そして私と海の向こう

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魔法と言うものはこの世界に元々存在していた。 しかし、私の場合は今まではオリジナルのものばかり使用していた為、この世界の魔法と触れ合う機会は殆ど無かった。 風の魔法についても学園に行かなかったら、決して知ることがなかっただろう。 知らないという点で回復魔法もそうだが、この世界に元々あった魔法は呪文の詠唱を行えば、私でも用いることができそうだ。 それは、風や金属以外の魔法を使うことが出来ることを意味しており、内心、とても楽しみにしている。 しかし、回復魔法にを練習するまでに問題が一つ。 「あと十回」 生まれたばかりの子鹿のように震える腕、力が入りすぎてカッと見開いた目、動作間に挟まれる荒い呼吸。 私は現在、腕立て伏せの最中である。 「止まっとるぞ、休まずせんか」 ネイは私の背にドンっと何かが詰まった袋を置く。 私はその衝撃に耐えきれず、地に伏した。 無茶苦茶な、と言う私に対し、ネイは言う。 「どうせ回復魔法を使うなら、体も合わせて鍛えておいた方が良い。成長途中の今なら体も自然と馴染むだろう」 理屈は分かるので、何とも言い難い。 「まぁ、分かりますけれど」 しかし、どう考えてもスパルタである。 そして、一度納得してしまったが最後、私は各種の鍛錬が午後の日課として追加されたのであった。
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