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「いきなりジェットコースターからはきつかったかな」
「実は……初めてなの。遊園地には小さい頃に両親に連れてきてもらったんだけど、その時は怖くて乗れなくて」
「じゃあ、初めては俺とだ」
「う、うん……」
〝初めて”
その言葉が、やけに神聖な言葉に聞こえる。
初めて、といえば―…
悠馬との出会いが蘇る。
裏切りの後の絶望の中で抱いてもらった私の身体は、もうバージンではなかった。
悠馬との行為が苦い経験を上書きしてくれたと思っていたけれども、それは気持ちの面において。
ずっと誰にも開いてもらえなかった場所にやっと受け入れるのなら、もう名前も顔も直ぐに思い出せないような男性じゃなくて、一度味わえば忘れられない魅力を持つ―…悠馬が良かった。
まだお昼もまわっていない時間、こんな場所で考えることじゃないとは思うけれども、
悔いてしまう。
身の程知らずだとは恥じながらも、欲が溢れる。
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