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その日の天気も晴天で、外出日和。
何時もと違う路線のバスに乗り、休日の街中を歩く人達の中、
「今のヒト、かっこいいー」
なんて、通りすがりの女の子に言われる程の男(ヒト)の隣りを歩いてる。
ただ、どうしても遠慮気味に歩いてしまうから、周りは私の事なんて見えていないかもしれないけど、
悠馬がちゃんと私の事を見てくれているのなら、何よりも嬉しい。
なんて―…
「繭子さん、行きたい場所ある?」
「え……」
「遠慮なく言って、何処にでも付き合うから」
悠馬との外出ですっかり嬉しさに浸ってしまっていると、私が行きたい場所を聞かれた。
でも、
「えっと―…」
外へ出かけるっていうのに、〝何処へ行くのか”そんな肝心な事を考えていなかったものだから、困ってしまう。
「ゆ、悠馬は……?」
「俺は特に―…だから繭子さんが行きたい場所に着いていきたいかな」
「私が……行きたい……場所―…」
「うん」
そうは言ってくれるものの、思いつく場所といえば図書館とか本屋さん。
でも、悠馬からすれば退屈かな……
こういう時って、どういう場所へ行けばいいのか出不精な私は全く浮かばない。
ただ私は、自分よりも悠馬が楽しんで欲しいって思ってる。
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