10、ヒナタ

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その日の天気も晴天で、外出日和。 何時もと違う路線のバスに乗り、休日の街中を歩く人達の中、 「今のヒト、かっこいいー」 なんて、通りすがりの女の子に言われる程の男(ヒト)の隣りを歩いてる。 ただ、どうしても遠慮気味に歩いてしまうから、周りは私の事なんて見えていないかもしれないけど、 悠馬がちゃんと私の事を見てくれているのなら、何よりも嬉しい。 なんて―… 「繭子さん、行きたい場所ある?」 「え……」 「遠慮なく言って、何処にでも付き合うから」 悠馬との外出ですっかり嬉しさに浸ってしまっていると、私が行きたい場所を聞かれた。 でも、 「えっと―…」 外へ出かけるっていうのに、〝何処へ行くのか”そんな肝心な事を考えていなかったものだから、困ってしまう。 「ゆ、悠馬は……?」 「俺は特に―…だから繭子さんが行きたい場所に着いていきたいかな」 「私が……行きたい……場所―…」 「うん」 そうは言ってくれるものの、思いつく場所といえば図書館とか本屋さん。 でも、悠馬からすれば退屈かな…… こういう時って、どういう場所へ行けばいいのか出不精な私は全く浮かばない。 ただ私は、自分よりも悠馬が楽しんで欲しいって思ってる。
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