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「じゃあ繭子さん、行こうか」
「う、うん、でも何処に―…」
そう尋ねると、私の手を取った悠馬はニコッと笑った。
悠馬が休日の行き先に選んでくれた場所。
それは、
ゲートをくぐると日常とは違う世界が広がっている、遊園地。
昔、持っていた、カラフルで賑やかな作りの仕掛け絵本の中にいるみたい。
「さっそくだけど、どれにする?」
「えっと……」
「片っ端から乗っていこうか」
ジェットコースターにメリーゴーランド、回転ブランコにコーヒーカップ―…
たくさんのアトラクションがあって、ずっと奥のエリアには大きな観覧車もある。
一番最初に選んだのは、
「~…っ……!」
じわじわとコースターがてっぺんに到達して、それからは一気にレールの上を高速で駆け抜けていく、ジェットコースター。
「「「キャアァァ~…ッ…!!!!」」」
って周りのお客さんは大絶叫だけど、私、
「~~っ……!!」
あまりにものスピードと恐怖で声さえ出ない。
たぶん、ずっと強張った顔のまま、ひっしで安全バーを握っていたと思う。
無事に一周しおえてジェットコースターを降りて降口から出た後、一気に力が抜けて腰が抜けたみたいになって、
「繭子さん、大丈夫?」
「っ」
とっさに悠馬が支えてくれた。
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