10、ヒナタ

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「じゃあ繭子さん、行こうか」 「う、うん、でも何処に―…」 そう尋ねると、私の手を取った悠馬はニコッと笑った。 悠馬が休日の行き先に選んでくれた場所。 それは、 ゲートをくぐると日常とは違う世界が広がっている、遊園地。 昔、持っていた、カラフルで賑やかな作りの仕掛け絵本の中にいるみたい。 「さっそくだけど、どれにする?」 「えっと……」 「片っ端から乗っていこうか」 ジェットコースターにメリーゴーランド、回転ブランコにコーヒーカップ―… たくさんのアトラクションがあって、ずっと奥のエリアには大きな観覧車もある。 一番最初に選んだのは、 「~…っ……!」 じわじわとコースターがてっぺんに到達して、それからは一気にレールの上を高速で駆け抜けていく、ジェットコースター。 「「「キャアァァ~…ッ…!!!!」」」 って周りのお客さんは大絶叫だけど、私、 「~~っ……!!」 あまりにものスピードと恐怖で声さえ出ない。 たぶん、ずっと強張った顔のまま、ひっしで安全バーを握っていたと思う。 無事に一周しおえてジェットコースターを降りて降口から出た後、一気に力が抜けて腰が抜けたみたいになって、 「繭子さん、大丈夫?」 「っ」 とっさに悠馬が支えてくれた。
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