10、ヒナタ

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10、ヒナタ

「ファッションショー?」 「っ」 クローゼットの前で持っている服を片っ端にとでもいうように合わせていると、背後から聞こえた声にドキッとしてしまう。 「もう……起きたの?」 「眠いけど物音が気になるから」 「ごめんなさい……」 「嘘だよ。一晩ずっと抱きしめていた女性(ヒト)が何時の間にか居なくなっているから寂しくて」 そんな台詞の様な言葉にも胸が甘く高鳴る。 今日は私にとって特別な一日になりそうだから、尚更に。 目覚めからの悠馬の甘い言葉と二人で出かける約束に、年甲斐もなく弾む心を悟られないように振る舞いたいのだけど、 「あ、あの……っ、朝食……作ってあるから良かったら食べて。シャ……シャワーも浴びたかったら自由に使って―…っ」 器用じゃない私は声がどもってしまって不自然。 激しい夜を過ごして、今日は休日でも、朝早くから起きてご飯を炊いて、ハムエッグと鮭を焼き、お味噌汁も作った。 その後は、これから悠馬と出掛ける用の洋服選び。 どれも地味で似た様な色合いとデザインの服ばかりというのに、どれが一番良く見えるのかじっくり選んでる。 昨夜よりも、もっと浮かれてる。
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