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けれど、一度としてそんなことはなかった。
それは、自分に対して、何の感情も抱いていなかった。
悪意もなければ、嘲りの感情も、恐怖も抱いていなかった。
そこにあるのは、「哀しみ」の感情だけ。
哀しい、と
その感情だけを、それは抱いていた。
面白いな、と思った。
自分には何の感情も抱いていない、哀しみだけがある「魂」
そうして。
それは、自分のもとにやってきた。
何故とか、どうしてとか。
そんなことは関係なかった。
これは、自分の元に来てくれたのだ。
……一人でいるには、寂しすぎた。
確かに、自分はここに望んで来た。
だけど。
ずっと一人でいることには、耐えられそうになかった。
仲間が欲しい、と。
共にいて欲しい、と願った者達は皆去った。
ならば、この「魂」を使って。
自分と共に在れる者を造れば良い。
それは、とても良い考えだと思った。
そう思い。自分は、これからどうするべきかを考え始めた。
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