10 統合

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 けれど、一度としてそんなことはなかった。  それは、自分に対して、何の感情も抱いていなかった。  悪意もなければ、嘲りの感情も、恐怖も抱いていなかった。  そこにあるのは、「哀しみ」の感情だけ。  哀しい、と   その感情だけを、それは抱いていた。  面白いな、と思った。  自分には何の感情も抱いていない、哀しみだけがある「魂」  そうして。  それは、自分のもとにやってきた。  何故とか、どうしてとか。  そんなことは関係なかった。  これは、自分の元に来てくれたのだ。  ……一人でいるには、寂しすぎた。  確かに、自分はここに望んで来た。  だけど。  ずっと一人でいることには、耐えられそうになかった。  仲間が欲しい、と。  共にいて欲しい、と願った者達は皆去った。  ならば、この「魂」を使って。  自分と共に在れる者を造れば良い。  それは、とても良い考えだと思った。  そう思い。自分は、これからどうするべきかを考え始めた。
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