第1章

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 きっかけは僕がプールに通うようになって彼女のポカリスエットを飲んだことで始まった。彼女のペットボトルを通して、彼女の菌が僕の中で着実に培養されており、今に至っては恋煩いという病気が発症している所だ。  ……彼女は一体、僕のことをどう思っているのだろう?  僕は世界の食料問題という講義を聞いている振りをして夢想する。彼女のアプローチの仕方は本当に大胆で、その声と態度で僕は赴くままに翻弄されている。正直いって、からかわれているのか僕に興味があるのかすら今の所、わかっていない。だからこそ僕は爆発寸前のポンコツロボットのように頭をショートさせながらも、彼女への恋慕を続けているのだ。  ……それも今日で終わりにしなければならない。  僕は拳を強く握った。彼女とは月に一度会えたらいい方なのだが、このままだと僕の身が持たないのだ。頭が混乱している状態で日常生活がまともでいられるはずがない。だから今日は一世一代の告白をしてみようと思っているのだ。  今日は彼女が行きたいパスタ屋へ二人で行くことになっている。彼女は何でも夜のバイトをしており、パスタを作る修行中の身らしい。一人では食べづらいとのことで急遽、僕が選ばれた。
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