第1章

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「お腹もいっぱいになったし、ちょっと散歩しようか」  彼女は嬉しそうに笑いながら店を出てヒールの音を加速させる。この音を聞いているだけで、僕には何のBGMもいらないし、どんなアーティストの歌だって響かない。  近くの公園に行くと、月夜に照らされたブランコが見えた。彼女は一目散に走りながら、ブランコの上をハンカチで拭いて座った。  月夜に塗れて、彼女の水色のミニスカートと緩い上着から見える首に掛けられた水色の紐がワンピースのように繋がる。その一瞬で僕の心臓が止まったように感じた。 「ねえ、君もおいでよ」  「……すいません、ちょっと飲み物買ってきます」  僕は自分の心臓を心配して少し距離を置くことにした。やはり彼女は月のような女性だ。近づき過ぎるとろくなことがない。  僕は彼女の水色のポカリと自分のロイヤルブルーのポカリを買った。これを飲めば少しは落ち着けるだろう。  彼女の傍に座ると、彼女は満足そうに手を伸ばし水色のポカリを取った。彼女の好きな方だ。 「美味しかったですね、パスタ」 「うん。そうだけど、一つ君に嘘ついちゃった」 「何についてですか?」  僕が尋ねると、彼女はにんまりと笑った。
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