バタークッキー

　タリィ。
　降って来る雨を窓越しに見ながら、俺はそう思った。ちょうど俺が座っている席から雨が降っているのが見える。
　昼前から振り出した雨は、まだ止みそうにない。
　そのせいか、全然広くないこの部屋は、じめじめしている。
　それなのに、この部屋には、たくさんの人がいやがるのだ。
　俺の目の前にいるオッサンみたいなオバサンは、サイバンカン。
　左側にいるのが、サイバン何とか書記官という、これまたつるっぱのハゲオヤジで、右側にいるのがカテイサイバン何とかという、生真面目な顔をしたヤローだ。
　そして、俺の右斜めに座っているは、裁判所が探してきたツキソイニンとか何とかというヤツが座っている。
　ちなみに、俺の座っている椅子には、俺だけしか座っていない。