大嘘吐き

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「これらが法則と呼ばれる異能だ」 「ややこしい…、それに現在ってことはまた増えるかもなんでしょ?」 「まぁ、たしかにその可能性はなくはないが、そうそう見つかるものでもないさ」 「あ~」と詩織がベッドに横たわるのと同時に部屋の扉がノックされ、その瞬間詩織が部屋から消えた。 「ほんと、便利な法則だよな。…誰だ?」 扉に目を向けていても誰かが入ってくる様子がない。 気配もない。というよりは翠月は気配を察知できないのだ。 「誰もいないのか?。ったく…」 仕方なく立ち上がって扉の前まで行き、数秒待ったあと…、思いっきり扉を蹴り破った。 「あー、ばれた~」 ぼろぼろになった扉の横には笑顔で翠月を見つめている少年がいた。 「ねぇ、なんでわかったの~?。それに、この扉を蹴り破るなんてすごいねぇ。一応この扉さ、六ヶ所以上留め具ついてるからそう簡単にとれないはずなんだけどなぁ」 「なんでわかったか?。あぁ、俺が電流をくらってない理由か?。簡単だよ、俺は目がいいからな」 「目?。なに、お兄さんの目は電流が見えるの?」 「冗談言うな。よほど強い電流、それこそ実験とかのやつじゃないと見えないさ」 翠月の遠回しの解答の連続で少年の笑顔が少しずつひきつりはじめる。 「…じゃあ、お兄さんは何を見たっていうのさ」 「もう、夜なんだからはやく部屋に戻って寝た方がいいんじゃないのか?、ビリビリ君」 その言葉で完全に少年の顔から笑みが消えた。 「…お兄さん。残念だね、入学初日で死ぬことになるんだから…。お兄さんは電気よりはやく動けるかい?」 少年が翠月に手を向けるのと翠月が窓枠に手をかけるのはほぼ同時。 翠月の背中に高圧電流が直撃し、そのまま床に倒れた。 「間違いなく当たったね、雷にうたれたのとたいした変わらない。入学式で暴れてた女の子の付き添いだからこっちも強いのかとおもったけど…、全然大したことなかったなぁ…」 「そりゃ、悪かったな」 少年がその場を立ち去ろうとした瞬間に翠月は何事もなかったかのように立ち上がった。 「なんで…。そんな…、たてるはずがない…。よくて気絶、悪ければ死んでもおかしくないはずなのに…」 「お前はさっきから質問ばっかだな、まったく。まぁ、そんな難しいことはなにもしてないさ」
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