第1章

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次第に嗚咽が混じって聞き取り辛くなっている言葉に、オレは必死で耳を傾けた。 「あかちゃんのせい…?」 「 …。」 「あかちゃんって…なに?」 「 …。」 「おにいちゃんって…っ。」 「うん」 「おに…ちゃん…って、なに?…そんなの、…そんなのいらないよーーーぉっ」 ぅぁぁあああーーーーーーーー……っ きっと他にも、言葉にできない気持ちがあるんだろうが、 くうはここで声を上げて泣きはじめた。 上擦って泣きじゃくる合間に、 一言、また一言と何かを言うのだけれど、聞き取れたのは "ママ" と "ごめんなさい" だけだった。 オレにはもう、言葉で答えてやることはできなくて…。 ただ泣き崩れた小さな身体を、ゆっくりさすって撫でてやることしか思い付かなかった。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 30分くらい経っただろうか。 落ち着いてきたくうに、歩けるかと声をかけると頷いた。 鼻をかんで、顔を洗わせて、オレはくうのリュックを持って玄関で待つ。 …18:43。 下手すると乗り換えで時間くって、実家に着くのは21時頃になるか。 連絡をして状況も説明したし、時間以外は問題ないだろう。 …腹減ったな。 ヨタヨタと、玄関きたくうの手には、先日オレが買ってきた赤い歯ブラシが握られていた。
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