第1章

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「くう、腹減ってない?」 「…おなか、すいた」 電車に乗る直前、ホームの売店に立ち寄った。 着いてからじゃ遅すぎるし、少し腹に入れとこう。 「なに食べたい?ひとつ選びな」 くうはぐるっと見渡すと、 「ケイくんとパンケーキたべる」 と迷わず言った。先日の出来事が思い出される。 「今日はもう夜だから、すぐには無理だな。でも、帰ったら一緒に居るし、チャンスはいくらでもあるから、今はここにあるものにして、一緒に食べよう?」 「…はい」 やっぱり少ししょげた返事だった。 「作ってやるから」 そう言いながら相当驚いた。 完全な無意識で、 どうしてその発想に思い至ったのか、自分でも全く意味がわからなかった。 パッと顔をあげたくうがオレを見る、期待に満ちた眼差しが……イタイ。 あぁ…オレは血迷った。 結局オニギリを2個買って、オレたちは人の少ない赤の登り電車に乗り込んだ。 その車中、 本当はダメなんだからな? 何度もそう言い聞かせながら、二人でこっそり、買ったオニギリを頬張った。
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