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「くう、腹減ってない?」
「…おなか、すいた」
電車に乗る直前、ホームの売店に立ち寄った。
着いてからじゃ遅すぎるし、少し腹に入れとこう。
「なに食べたい?ひとつ選びな」
くうはぐるっと見渡すと、
「ケイくんとパンケーキたべる」
と迷わず言った。先日の出来事が思い出される。
「今日はもう夜だから、すぐには無理だな。でも、帰ったら一緒に居るし、チャンスはいくらでもあるから、今はここにあるものにして、一緒に食べよう?」
「…はい」
やっぱり少ししょげた返事だった。
「作ってやるから」
そう言いながら相当驚いた。
完全な無意識で、
どうしてその発想に思い至ったのか、自分でも全く意味がわからなかった。
パッと顔をあげたくうがオレを見る、期待に満ちた眼差しが……イタイ。
あぁ…オレは血迷った。
結局オニギリを2個買って、オレたちは人の少ない赤の登り電車に乗り込んだ。
その車中、
本当はダメなんだからな?
何度もそう言い聞かせながら、二人でこっそり、買ったオニギリを頬張った。
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