第1章

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翌朝は雲も少ない青空で、すっかり台風一過だった。 夜の内に過ぎた台風は、予報通りに温帯低気圧となって日本をぬけていき、交通にはほぼ影響がないと、朝のニュースが報じていた。 「大したことなくて良かったね」 用意してくれたシチューを食べいると、甥っ子を起こしに行っていた姉が戻ってきて、キッチンへ入った。 その後ろをヨタヨタと、目を擦りながら歩いてくる甥っ子は、どこかの鉄腕ロボットみたいな立派な寝癖だ。 「すごいな髪の毛」 ポロっと出た言葉に反応を示した甥っ子は、こちらの存在に気が付くとピタリと動きを止めてしまった。 あ、しまった。何か続けないとか?! 「……ぁ、…おはよう」 ひとまず挨拶をしても微動だにしない甥っ子は、姉から返事を促されてようやく、ハッと表情を変えた。 「おじゃまなひと!!」 「?!!」 呆気にとられていたところ、姉のおかげですぐにそれが、"お邪魔してます"という言葉からきていると判明した。 つまりは"お客さん"と理解したらしい。 ちょっとショックを受けたのは内緒のはなし。 「あんまり家に人をいれるって、うちはないからねー」 シチューをよそいながら、姉は軽く笑っていた。
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