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「ドレミファドレミ~♪」
突然歌い出したのは、シチューを頬張る甥っ子だった。
「赤い電車はうたうんだよー。ドレミファドレミ~♪」
「え…?」
「あー、ドレミファインバータって言って、京急線が発車するときに、時々音階のメロディーがするのよ。くうはどうしてか、ソラシドーって言わないんだけど」
シチューを口へ運ぶ息子を観察しながら、姉が捕捉、説明する。
「あのね。…モグモグ…ボキュは赤いの…モグモグ…ひゅきなの。でも、…モグモグ…青いのもひゅきー」
「くう、口の中カラにしてから喋りな」
「うん、もうないよ」
そう言ってまた、シチューを口へ運び
「ケイきゅんは青いの…モグモグ…ひゅき?」
「くう、おくち」
「もうないよ」
…そう言ってる時はカラなのに、何故この子はシチューを口にいれる度にまた喋るのか…。
わざと?
「入ってる時は喋らないよ、お行儀悪いです。ちゃんと聞いてる?」
「…あのねママ、今日もおいしいねぇ。昨日もおんなじだけど、しあわせだねぇ。ボクね、パンケーキだともっとしあわせと思うんだぁ」
「はいはい、そーね」
「ママ、"はい"は一回だよ。おぎょうぎわるいです。ちゃんときいてる?」
(うわぁ…。あぁ言えばこう言う…。)
というか、何気なく非難して、何気なく注文してる。
一歩引いて見ているとチラリと視線を流した姉と目が合った。
「こういうやり取りしてるとさー。なんか昔を思い出すんだよねぇ。…あんたみたいで。」
「えっ?!オレ?なんで」
「ケイくんはー」
「はい?!」
「けーきゅーのケイくんでしょ?…おそろいいいなぁ。…はぁ」
(え、何急にナイーブなため息)
そしてまたシチューを口へ。
コロコロ変わる話の展開にもえ全然ついていけないんですが…。
あ、でも………
「くうもお揃いじゃん? 」
「え!」
驚きでシチューをこぼすくうに、
9のもうひとつの呼び方を教えてやった。
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