第1章

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その後、すっかりくうになつかれたオレは、暫く電車の話を聞かされ続け、昼食のお誘いも受けたのだが、仕事の連絡が入ってお断りすることになった。 「ケイくんとパンケーキ…」 「くう、すっかり拗ねちゃったねぇ」 玄関で見送ってくれたくうは、へそ曲げて口を尖らせていた。 「じゃぁね、くう」 声をかけても目が合わない。 「くう、行ってらっしゃいは?」 「…っしゃい」 促されてようやく発した小さな声をあとにして、オレは家を出た。 駅に着くまで、なんだか長かった昨日からのことを思い出して歩いた。
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