第1章

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数日後、実家でのんびり休日を過ごしていた昼下がり。 西日が差し込む頃に、一本の電話が入った。 出先で姉が陣痛を起こして運ばれたという知らせだった。 母親について病院へ向かうと、姉の旦那とくうが待っていた。 容態は悪くないが、どうやら長くなりそうとのことで、この日はくうをうちで預かることになった。 母は姉の旦那に付き添い、手続きの手伝いを、オレはくうの荷物だけ取りに、くうを連れて家へ向かった。 くうはずっと黙ったまま、強ばった表情をしていて、声をかけても頷くか首を振るかだった。 …居心地が悪い。 オレは今、くうと二人で例の赤い電車に乗っていた。 会話もなく、かけるべき言葉も見付けられないまま。 子どもが苦手なんて、言い訳にもならない。 腹のうちに鉛でもあるかのように、重たく感じていた。 家へ着くと、言われた場所に真っ赤な電車を型どったリュックがあった。中身はくうのお泊まりグッズらしく、 こうなる事を見越していて、準備済だったそうだ。 ふと気付くと、くうの姿がなかった。 あわてて家の中を探すと、くうは一室の片隅で床に置いた何かを見ていた。 近づくとそれは、あの電車のカレンダーで、両手を床について前かがみのくうの表情は見えなかった。
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