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隅田良助が、会社の自分のデスクで見積もりの計算をしていると、
「毎度様です!〇〇印刷です!」と取引先の営業マン、木島が元気いっぱいの挨拶をしながら事務所に入って来た。
「お、木島君じゃないか!よく来た、よく来た!今日も元気そうだな!」
と、隅田は笑顔で木島に声をかけた。
「あ、隅田部長!毎度どうも!名刺が上がったのでお届けに伺いました!」
木島も満面の笑顔で隅田に頭を下げる。
「おお、そうか!ご苦労さん!いつもありがとな!」
「いえいえ!こちらこそ!いつもご愛顧ありがとうございます!」
と、木島は名刺が入ったケースを隅田に手渡した。
「なあ、木島君!久しぶりに明日の週末にでも軽く飲みに行かんか?もちろん、俺のオゴリだぞ」
隅田の誘いに木島の表情が更にパッと明るくなる。
「お、良いっすね!久々に行きますか!」
「よし!決まりだな!じゃあ後で携帯に電話するな!」
「了解です!お電話お待ちしてます!」
と、木島はそれから隅田と少し仕事の話をすると、再び勢いよく頭を下げて事務所から出て行った。
出て行く木島の後ろ姿を隅田は微笑ましく見送った。
「いやぁ、木島君も立派な営業マンになったものだなぁ」
一番最初に木島がこの事務所に挨拶に来た時、
営業マンになりたてで営業という仕事について何も分かっていない様子ではあるが、それでも一生懸命な様子の木島に隅田は好感を覚えた。
木島の姿をまだ新人営業マンだった頃の隅田自身と重ね合わせたのかもしれない。
「木島君…君は、まだまだ伸びる!頑張れよ!俺は、応援してるぞ!」
木島がいる『〇〇印刷』と、隅田がいる『〇〇出版』…業務内容は違えど、営業としての技術や心得は同じだ。
隅田は、木島の成長がまるで自分の部下の成長を見ているかの様に嬉しかった。
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