3【隅田】

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ところで… 今、隅田が働く出版社では、 若者の間で静かな話題となっている、ある携帯小説が遂に出版の運びとなり、 それに向けての準備で繁忙期を迎えていた。 その本の印刷をどこの印刷会社に頼むか、まだ正式には決めていないが… 隅田は、木島が働く会社にお願いするツモリだ。 と… 不意に、隅田のデスクの固定電話が鳴った。 見ると、電話機の点滅しているランプは外線ではなく、内線のランプだった。 彼は、電話に出た。 「あー、隅田だが」 と、電話に出た次の瞬間… 「な、何っ?!」 と、すぐに隅田の表情に緊張が走った。 「す、すぐにお繋ぎしてくれ!いいか!くれぐれも失礼の無いようにな!」 そう…。 大手出版社で営業部長という肩書を持っている隅田にも、頭が上がらない…と言うか、どうしても勝てない相手がいたのだ。 電話は…その相手に繋がった。 隅田は、これ以上無いくらいの明るい声でその相手に挨拶をした。
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