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ところで…
今、隅田が働く出版社では、
若者の間で静かな話題となっている、ある携帯小説が遂に出版の運びとなり、
それに向けての準備で繁忙期を迎えていた。
その本の印刷をどこの印刷会社に頼むか、まだ正式には決めていないが…
隅田は、木島が働く会社にお願いするツモリだ。
と…
不意に、隅田のデスクの固定電話が鳴った。
見ると、電話機の点滅しているランプは外線ではなく、内線のランプだった。
彼は、電話に出た。
「あー、隅田だが」
と、電話に出た次の瞬間…
「な、何っ?!」
と、すぐに隅田の表情に緊張が走った。
「す、すぐにお繋ぎしてくれ!いいか!くれぐれも失礼の無いようにな!」
そう…。
大手出版社で営業部長という肩書を持っている隅田にも、頭が上がらない…と言うか、どうしても勝てない相手がいたのだ。
電話は…その相手に繋がった。
隅田は、これ以上無いくらいの明るい声でその相手に挨拶をした。
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