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そんな私をジュン君が突然背後から羽交い絞めした。
「綾乃さん…ボクの前で、オヤジのことを言わないで…」
ジュン君が言う。
その声は切実なものだった。
「いつも、いつもオヤジのことばっかりで、たまにはボクのことも見て…」
ジュン君が私を背後から羽交い絞めにしたまま、泣き声で言う。
「ジュン君…わかったから、力をゆるめて、お願い…」
私は呟く。
が、ジュン君は力一杯私を抱き締めたまま。
その力は痩せたジュン君のカラダにどこにそんな力があるのかと思うくらい、
強いものだった。
そのまま、ジュン君は力をゆるめない。
私はジッと我慢する。
そして、ジュン君は強引に私を前に振り向かせた。
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