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「…綾乃さん、ボクだけを見て…オヤジのことじゃなく、ボクのことを見て…」
ジュン君は私を羽交い絞めにしたまま、繰り返す。
私は呆気にとられた。
「ジュン君…なにを言ってるの? …落ち着いて…話し合いましょう…」
「やだ、離さない」
ジュン君が拒否する。
ジュン君は私を羽交い絞めにしたまま、私に覆いかぶさるようにした。
その姿はまるで、親鳥が雛を抱くよう。
ジュン君はかつて見たこともないほど、強引だった。
つけっぱなしのテレビの中で、ナオキがなにかコメントしている。
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