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「だって……」
もともといい人なんだ。
先生は僕の原稿が汚れないよう
真っ先に持ち上げる。
「君は敬と……」
「彼との話だなんて言ってない」
たとえ
そんな腐った原稿でも――。
「だからって僕が彼を騙しているだなんて思わないで下さいね」
僕は困惑顔の先生に近づくと
せっかく救われた原稿を
零れたコーヒーの上に投げ打った。
「あれからよく考えてみたの」
「あれから?」
「昨夜あなたに放り出されてからさ」
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