episode194 花村教授と秘密の講義②

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椎名さんは腕を掴み僕をベッドに誘う。 「せっかくだけど――今の僕は」 声を潜め 「もう使いものにならないの」 そっと頬にキスしてやると。 切れ長の大きな瞳がようやくパッチリ開いた。 「肌艶のいい顔して――」 「王子様が朝まで離してくれなくて」 「いい匂い」 「ああ、薔薇のせいだよ」 「薔薇?」 「起きたらバスタブいっぱいに」 ぬるめの湯が張られ 色とりどり薔薇の花が。 傍らには搾り立てのライムジュース。 ティファニーの小箱からは 目覚めのショコラが2粒。 ついつい甘い溜息が零れる。 それが 九条敬のスタイルだ。
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