episode194 花村教授と秘密の講義②

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と――。 「昨日はすまなかったね」 手を出したことか。 途中で放り出したことか知らないけれど。 先生は僕に背を向けたまま ポツリそう洩らした。 「いえ」 あえて言葉少なに。 僕はごくわずか口端を上げて見せる。 昨日の戯れ事のせいか。 湿気を孕んだ雨のせいか。 部屋の中は絡みつくような 濃厚な空気で満ちていた。 「コーヒー」 「ありがとうございます」 「それで――僕に見せたい物って?」
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