155人が本棚に入れています
本棚に追加
先生は目を見開いて僕を見つめていたかと思えば。
あからさま不自然に目をそらす。
前以上に僕を意識している証拠だ。
「これです」
恥ずかしげに笑って
僕が取り出したのは――。
「原稿じゃないか」
「書いてみたんです。例の――」
「訳ありの恋愛小説?」
「まだほんのさわりだけですけど」
10枚程度。
束にした原稿用紙を差し出す。
「先生も興味がおありでしょう?」
僕の相手が
相手だけに――。
「もしかして読みたくないですか?」
少し青ざめたのもちゃんと見定めてから。
僕は意地悪く手を引っ込めた。
最初のコメントを投稿しよう!