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もちろん。
人間好奇心には勝てやしないんだ。
「綺麗な字だね」
なんて当たり障りのないこと言いながら。
先生は僕の手から原稿を奪い取った。
やれやれ
自分から罠にかかってくれたみたい。
「重要なのは中身です。じっくり読んで――感想を聞かせて下さい」
読書の邪魔はしませんとばかり
僕はコーヒー片手に窓辺に立った。
しとしとと打ちつける灰色の雨。
細く開いた窓の隙間から時折僕の手を濡らした。
痛いほどの沈黙の中。
先生はプロらしく厳しい眼差しで
僕の原稿に目を通し始めた。
文字を追う。
ページをめくるごと
やがて――。
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