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その時校舎の中から、女の子の悲鳴が響いてきた。
「キャァァァァ――――」
俺は立ち上がろうとしている女の子をその場に残し、教職員用の出入り口から校舎の中に入り、悲鳴が聞こえる上階を目指す。
1階と2階の間の踊り場を過ぎ2階に駆け上がる俺の目に、青白い顔をした女子高生2人に掴み掛かられんばかりの女子高生が映る。
「ゴラァァ――! 」
俺の叫び声で俺に気が付いた、3人の女子高生が俺の方を見た。
俺の姿を見て、襲い掛かられそうだった女子高生が、悲鳴を上げながら廊下の向こうに走り去る。
そりゃあね、下着姿のデブの中年男が、階段下から突然大声を上げながら現れたら、逃げ出しても仕方がないよ、傷つくけど。
でもね。
襲い掛かっていた青白い顔の女子高生2人も、一緒に逃げ出す事は無いんじゃないの?
青白い顔で制服のあちらこちらを血で汚した女の子2人は、俺を怯えた顔で見ながらノロノロと教室に入って行く。
ため息を突きつつ階段の最上段に足をかけた俺は、そこで足を滑らせ、仰向けに階段から転がり落ちる。
ドサ!
「痛え――」
背中の痛みで目を開けると、そこは俺の部屋でベッドから転がり落ちていた。
「(何だ? 夢かよ)」
頭を振り、目覚めの一服のためタバコに手を伸ばした時、開けっ放しの窓の外から女性の悲鳴が聞こえて来た。
「ぎゃぁぁぁぁ――痛い――! 誰か助けて――! 」
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