ぜろ

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「お邪魔、します」 時雨くんはそうっと部屋に上がった 「どうぞ」 「部屋、綺麗だね」 「そう?ありがと」 部屋が綺麗なのは、親が先週来て、勝手に掃除していったせいだ。今回ばかりは母に感謝しなければ。 「お風呂借りてい?」 「うん。」 シャワーの音が聞こえ始める 彼氏がいたらこんな感じなのかなー。 さっき出会ったばかりの時雨くんを彼氏に脳内変換する。 彼氏だったら、シャワーの後、部屋にそのまま来て…うふふふ 「弥生?どした?ニヤけてる」 「わっ」 気がつくと目の前にはジーンズ一枚の時雨くんがいた。 「あ、ごめん。服なくて…」 時雨くんが気まずそうに笑う 「彼氏のとかあれば良かったね」 「弥生、あの」 「何?」 「彼氏、とか、いたりする?いたならごめん。俺、勝手に…」 バツが悪そうに時雨が言う 「大丈夫だよ。大学来る前に別れたから」 「弥生、絶対彼氏いると思ってた」 「残念ながらね、私はモテないんですよ」 ははっと笑ってみたけど、もはや自虐でしかない。 「こんな、可愛いのに」 時雨くんの手が私の頭に伸びた 目線を私に合わせて微笑む 「お風呂、はいってくるから!」 耐え切れなくなって、その場を離れた
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