第1章

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「課長の馬鹿やろう――! 」 「(糞! まただ)」 近所の公園で酔っ払いが騒いでいる。 「(まったく、夜中に騒いでいるのじゃない! 近所迷惑だって分からんのか)」 「畜生――………………ワァ! 」 もう我慢できん。 私は玄関脇に置いてある、杖と懐中電灯を手に公園に向かう。 同じように頭に来たのだろう、隣のアパートから、バッドを握りしめた学生が駆け下りてくる。 彼は私に気が付くと、頭を軽く下げ声をかけて来た。 「いい加減にして欲しいですよね」 「ああ、まったくだ。 毎夜毎夜怒鳴り散らしやがって、今夜こそ叩きのめしてやる」 公園に着き、公園の中を懐中電灯で照らすが誰もいない。 学生が呟く。 「畜生、逃げられたか?」 学生と顔を見合わせ帰ろうとした私の耳に、何かが聞こえた。 「…………………………」 「うん?」 「どうしました?」 「何か聞こえないか?」 「え?」 耳を澄ませ周りを見渡す。 「タ、タ、タスケテ、ダ、ダレカタスケテ」 「あ! 本当だ、人の声が聞こえる」 もう一度公園の中を懐中電灯で照らし、目を凝らす。 「(誰もいないな……)あ! 居た」 公園に備え付けられているゴミ箱の中に、男が身体をU字にして落ち込んでいて、助けを求めていた。 「ダレカタスケテ」
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