第一章 旅の始まり

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 その傘下には、他の大陸に存在する国々が入っている。  二つの大国は傘下の国々を引き連れ、かれこれ九九年間争いあっていた。今年がこの戦争の百年目だそうだ。  よくもまぁ、長い間歪み合ってるものだ。百年も経てば、妬み嫉みも薄れるだろうに。巻き込まれる国民も災難だな。  この戦争の発端、それは些細な事だった。  二つの大国は、もともと友好国であり共に発展した国だった。しかし、ある日、ヘリック共和国の王女リリアンがガガリア帝国へ友好の証にと第一皇子ディルムの元へ嫁いだ。政略結婚ともあり始め二人の仲はあまり良いものでは無かった。  だが、次第にリリアンとディルムは心を通わせ国一番のおしどり夫婦となる。そんな二人の間に皇子が誕生した。国中大層喜び、連日連夜のお祭り騒ぎが一週間続いた。  十数年の時が過ぎ、皇子は立派に成長し成人の時を迎えた。そして、この日、ガガリア帝国の皇帝ディルムは決断を迫られていた。
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