第一章 旅の始まり

5/33
前へ
/53ページ
次へ
 ガガリア帝国の皇帝ディルムには、リリアンとの間にもうけた皇子ーージョゼルとは他に、時を同じくして妾であるアンナとの間にも子ーーべディアをもうけていた。  ジョゼルとべディア。どちらを次期皇帝にするか。  この事案にリリアンの祖国ヘリック共和国がジョゼルを皇帝にと介入する。この出来事が切っ掛けでこの戦争が勃発したらしい。  戦争が始まる前にも色々と小競り合いがあったみたいだけど、主な理由は次期皇帝の座を巡った争いだ。  世界は違えども、権力争いは変わらないな。  そう言った小競り合いで滅んだ国は僕のいた世界でも、幾つかあった。でも、ここまで百年前の後継者争いを続ける国はなかった。  なまじ尾が引きすぎると、和解と言うのも無理な話か。今日まで争っていた相手、それも百年間もだ。中々和解出来るもんじゃない。ノーサイドとは行かないよな。 「そろそろ、森を抜けるぞ」  話に夢中になってて、  いつの間にか森の出口に差し掛かっていた。  
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43人が本棚に入れています
本棚に追加