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なんだろ、人族が他の種族に何をしたのか気になるけど何故か聞いてはいけない気がする。
渓谷を抜け、やっと歩きやすい足場となった。もう、かれこれ六時間歩いてる気がする。流石に空腹も限界で目の前がグラグラと揺らぎ始めた。
グゥーーッ、ギュルルルルッ。
腹の虫が抗議の声をあげる。
「そろそろ、飯にするか?」
「ご飯!!」
ジークの「飯」と言うワードに、少しだけやる気がみなぎった。空腹の限界で、地面に落ちてる石がおにぎりに見えてしまう程僕は追い詰められていた。
何せ、朝からなにも食べて無かったんだから…………。
ジークは、「ここで待ってろ」と言い残し、物凄い速さで何処かへ行ってしまった。
残された僕は、座るのに丁度いい岩に腰かけた。
待つこと数十分。
ジークが手に何かを持ち帰ってきた。
それは、黒い何かだった。長い耳に丸みを帯びたフォルム。そして、赤い瞳。
「…………って、ウサギィィィィ!?」
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