序章 転移

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 音を頼りに、ひたすら走った。  自分の体力の限界も忘れて。  木々の間から、河辺が見えた。  僕は、飲める水なのか確かめもせず川に顔を突っ込んだ。そして、ガブガブと勢い良く川の水を飲む。  水っ腹になりそうなほど飲んだ後、息を吐いた。  この川に沿って下っていけば、  森から出れるかもしれないな。  大概、川ってのは海に繋がってるもんだ。  となれば、休息をとった後、出発しよう。  海辺に出ればここが何処か分かるかもしれない。  淡い期待を胸に一歩踏み出す。  上空を大きい影が通り過ぎていった。  それは、蜥蜴(とかげ)に蝙蝠(こうもり)の翼を生やしたような生き物だった。  僕は、唖然とその生き物を見送った。  あれは…………そう、伝承に名高い幻獣“ドラゴン”!!  って、いやいやいや。そんなん、存在する分けない!  何かの見間違いだ。
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