序章 転移

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「ううぅ…………ッ」  男性が目を覚ました。  ゆっくり身体を起こし、周囲を一瞥する。  起き抜けか目の焦点が定まっていない。 「…………ここは」  男性と目が合う。  なるべく、警戒心を仰がないよう自然な笑みを浮かべ僕は、男性に声をかけた。 「良かった、目が覚めたね。  って、言葉通じるよね?」 「…………君、は?」 「僕は早乙女遥」 「サオトメハルカ?…………妙な名前だな」  妙とは失礼な。確かに男っぽくない名前だけどさ。  自分じゃ気に入ってるんだよ、  遥って名前。  初対面なのにズバッと物を言う人だな。  不機嫌さが顔に出ていたのか、  男性はハッとなり手を振った。 「すまない、気に障ったのなら謝る。  珍しい名前だったもので、つい…………」 「ううん、気にしてないよ」
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