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「任せろっ!!」
タイミングを見計らっていたのか、ヒロがつまみに手をかける。
カチッ……カチッ………カ……カチカチカチカチカチカチカチカチッ。
「………」
ガスは新しいはずなんだけどなぁ。
「……野下、俺には無理みたいだ」
たかがコンロひとつで、そんなに落ち込まなくてもいいだろ。
「野下、『たかが』コンロ。されどコンロだろ」
よくわかんねーけど、よく俺の考えてることわかったな。
そんなことを思いながら、コンロの摘みに手を伸ばす。そして、ぴたりと止まった。
「……ヒロ、ガス缶刺さってねーぞ」
その言葉にヒロが「え」と顔をあげる。
「コンロの神様に嫌われた訳じゃないのか」
なんだよ、コンロの神様って。
そう思ったが、無視して火をつける。
火加減は中火よりちょっと強め。
「醤油か」
残った方が味噌ダレだから、ヒロが入れたのは醤油のはずだ。
そう考えて鰹出しのつゆを少し足す。
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