今日だけは。

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「……あ」  今日買ってきた鮭とホタテをジップロックに入れる。  それを冷凍庫に入れる代わりに、以前作っておいた餃子を取り出した。  先に昆布を一枚、鍋に放り込むことも忘れない。 「おっ、餃子鍋か!!」  ヒロが声をあげると、慌てたようにコートを引っ付かんで玄関を出ていく。 「さて、邪魔がいないうちにたったかやるか」  鍋から蒸気が勢いよく出ていることを確認しながら、一人ごちる。  どこ行ったんだ、あいつは。  そう思っているうちに蓋の周りから汁が溢れてきそうになった。 「やっべ」  鍋蓋をあけて吹き零れを防ぐと、そこに餃子を並べていく。  鍋の縁から隙間なく並べて、真ん中には豆腐。  豆腐の下には、豚バラも入れておく。 「……ちょっと贅沢すぎたか?」  普段は、餃子鍋に豆腐や肉は入れない。  だって餃子だけで十分だからだ。 「まぁ、いいか。年末だし」  たまには贅沢もいいだろう。  テンションが上がって鼻唄が漏れる。  リズムを取りながら蓋を閉めると、コンロの火を弱火にする。  一段落ついて、ほっとする。
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