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「ごめん、今日はちょっと具合悪いから帰るわ」
「おい、大丈夫かよ?」
心配そうに問いかける健太をよそに、香織はキャンパスを後にした。
*
帰宅した香織は、自分の部屋のベッドの上に寝転んで、今朝自分がしたことを振り返った。作品で人を喜ばせたいという思いを共有する仲間だと思っていたおじさんに、ひどい言葉をかけてしまった。そんな自分に、何かを作る資格なんてあるのか。一生懸命バルーンアートを作っていたおじさんは、あんな言葉をかけられて、どう思っただろう。いろいろな感情が吹き出して、涙があふれた。
「とにかく、明日の朝謝ろう」
ひとしきり泣きはらした香織は、そう決めた。
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