第1章
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今、俺は立っている。細い廊下の中央で、ただ、立っている。なぜ動かないかと言うと、目の前に奴がいる。黒くて、少し光っていて、動きに音をつけるとするなら、カサカサとか言われそうな奴が。俺の大嫌いな奴が。俺が一歩踏み出せば、確実に奴も、動くだろう。だからこそ、俺は戻ろうと思い振り向いた。 奴はもう一匹いた。後ろを取られた。確実にやられる。もうダメだ。前後を挟まれた俺は涙目で叫ぶ。 「誰でもいいから助けてくれ~」
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