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「大丈夫か、糸井沢!」
豊臣が倒れたままのあたしの方へ駆け寄ってくる。あたしは痛みを堪えて笑ってみせる。
「平気、平気。これくらい。いった!」
「立てないのか。よし、ちょっと我慢してろ」
そう言うと、豊臣はあたしを抱えた。
これって俗に言うお姫様だっこってやつじゃ。
「い、いいよ豊臣! 恥ずかしいし」
「俺だって恥ずかしいわ! けどしょうがねえだろ、足痛めたんじゃ」
生徒の目線があたしたちに集まる。
恥ずかしいし、なんか心臓、さっきよりバクバクいってる。試合で動いていたからだよな、これ。じゃないと困る。
「織田。糸井沢のことみてやってくれ」
「俺?」
「え、なんで織田!?」
「だって俺、試合あるし。任せた」
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