教えて赤い糸

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「ああ。わかった」 ちょっと待って! 声にならないまま口をぱくぱくさせているうちに、豊臣は試合に戻っていった。男子が豊臣にからむ。 「ヒューヒュー豊臣、お前すぐ糸井沢のほうに走っていったけど、好きなのかー」 「はー? 俺は誰よりも紳士なんだよ。ってか糸井沢重かったわー」 「紳士はそんなこと言わねーよ、あはは」 「あいつ」 「足、見せて。手当てするから」 「お、おう」 足を触られて、どくんと心臓が動いた気がした。平常心、平常心。そうだ。この間のこと、謝ったほうがいいかな。 「あ、あのさ」 「もう、気にしなくていいよ。この間のこと」 「え?」 「納得してるから。言えただけでいいんだ。むしろその、迷惑かけて悪かった」 「迷惑だなんて思ってないって! あたしのことを想ってくれる人がいる。それがわかるのは嬉しいことだよ」 「……そっか」 織田の表情が、少しほころんだように見えた。
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