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エマは、僕に積極的に近寄ってきた。
職場ではもちろんのこと、僕の自宅まで押しかけることが多々あった。
エマは、休日にはショッピングに一緒に行ってくれたり、僕の自宅に来て食事を作ってくれたりと、いたれりつくせりサポートしてくれた。
シアトルに来たばかりの頃は、エマの親切心からだろうと思っていたが、ここまでしてくれるのは、ただの親切心ではないだろうと考えた。
僕はエマにお礼をしたいと思い、エマを夕食に誘って、ご馳走することにした。
エマとレストランに行って、少しお酒を飲みながら話しをした。
エマは話しが好きで、次から次へと話題が出てきて休む間もなく話続けるので、僕は、よくこんなに話すことあるなぁと感心してしまった。
話しが好きなところは、彩によく似ていると思った。
僕はエマに聞きたいことがあって、率直に話をしてみることにした。
「僕はエマに、いつも親切にしてもらって、とても感謝しているよ!
本当にありがとう!
でもエマは、なぜここまで僕のためにいろいろしてくれるの?」
エマは、少し慎重になったようで、言葉に詰まりながら正直な気持ちを話してくれた。
「私はひろのことが好き!
でも、ひろにはきっと日本に素敵な彼女がいるのかなぁと思って、なかなか自分の気持ちを伝えられなかった!」
僕は、エマの正直な気持ちに、どのように答えればいいのかわからなかった。
エマの気持ちを傷つけないようにしなければと思ったけど、嘘をつくことがきらいな僕は、エマに正直に話すことにした。
「エマ、ありがとう。
僕はとても嬉しいよ。
でも、ごめんなさい、僕には日本に結婚を約束した彼女がいるんだよ!」
エマは、悲しそうな表情を見せたかと思うと、少し涙ぐんで僕に話してくれた。
「いいのよ、気にしないで!
ひろは優しいし素敵だから、日本の彼女は、きっと素敵な女性でしょうね!
私は、その女性がうらやましい!」
僕が言葉に詰まると、エマは涙をぬぐって、
「こんなに素敵なレストランで食事ができるなんて、本当に嬉しい!
ひろ、今日はありがとう!
さぁ、まだ料理あるから、もっとじゃんじゃん食べましょう!」
と明るい表情で僕に声をかけてくれた。
僕は、エマは人への心使いがとても良くできる、優しい思いやりのある女性だと、心からそう思った。
この日の僕とエマは、楽しい夕食の時間を過ごした。
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