2人の女性

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数日後、彩から話があると連絡が入り、いつものように三崎公園で待ち合わせをして居酒屋に行った。 彩は、いつもの元気がなく、僕は不安になった。 まずはビールで乾杯し、少し沈黙があったけど、彩が話しを始めた。 「この前のシアトルの話だけど…  ごめんひろ、私シアトルには行けない!」 僕は、ショックを受けて、 「そっか!」 とだけ答えたが、後は何を言ったらいいのか、わからなかった。 彩は、 「京急油壺マリンパークの集客のためのキャンペーンを企画しなければならなくて!  それに、カワウソの出産が控えていて、私がいなくなると人手が足りなくなるの!」 と話してくれた。 僕は一瞬、 (僕とカワウソのどっちが大事なの?) と言いたくなったが、子供じみた発言だと思って、この言葉はすぐさま飲み込んだ。 「わかったよ!  離れ離れになっちゃって淋しいけど、お互いに頑張ろうね!」 と、僕は彩に気持ちを伝えた。 さらに僕は、 「僕は、彩と結婚したいと思っている。  でも、もし彩が別の素敵な男性と出会ったら、その人と結婚してもいいからね!」 と、思ってもいないことを発言した。 すると彩は、 「ひろは、優しすぎるし、遠慮しすぎだよ!  私は、ひろの帰りを待ってるから信じてね!」 と話してくれた。 僕は、この言葉がとても嬉しかった。 「日本に帰ってきたら、正式にプロポーズするからね!」 と、僕は彩に約束した。 その後2人は、お互いに吹っ切れたのか、いつものように楽しい会話で盛り上がった。
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