隠せぬ思い

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流喜を拾った理由は確かに能力者だからだ。その能力が使えれば好都合だったりするし異端者同士助けたい気持ちもあった。 ただそれ以前に流喜を一目で気に入った。それだけだった。 「その能力があってもなくても拾ったよ」 その言葉に一瞬笑みを無くした流喜はすぐまたニコッと笑いそっか!と明るく返す。 うつ伏せが辛くなってきて身体を流喜の方へ向ける。 「あ、そういえば!」 芋虫の様な動きをしてこちらへ寝ながら寄り添ってくる流喜。胸のあたりに顔を埋め匂いを嗅いだ後上目遣いでこちらを見上げてくる。 さっきから距離感が近いが、アルビノが能力者に負けるわけもないので特に警戒もいらないだろう 流喜のわしゃわしゃで癖っ毛な髪の毛がまた少し顔を隠しているのが気になり指を通しかき上げる。 「名前は何て言うの?」 無邪気に聞く流喜。 「…憂(ユウ)」 あまり言う機会もないし少し恥ずかしいなと思いつつ自分の名を告げると流喜はなるほどー!と頷く。 「そんな感じするね、あってるあってる!!」 「…ありがとう?」 お礼を言うべきか否かよくわからないが何で返したらいいかもわからないから取り敢えず言っておく。 えへへと笑う流喜、能力者の割に警戒心がないというか自由だなぁ… 羨ましい、僕も自由になりたい。
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