18人が本棚に入れています
本棚に追加
思えば、能力者だと一目で分かってしまう僕は初めから人として扱われていなかった。
小さい頃から血を酷使されある時は攫われてアルビノはどの位傷つければ死ぬのか試したいなどと言ったふざけた理由で痛めつけられた。
勿論返り討ちにしてそいつはこの世にはもう存在しない。
そんな事ばかり起きて親の顔なんて知らない僕、当然捻くれていた。そんな僕を叱って、でもその後目一杯甘やかしてくれた人がいた。
そんな僕の唯一の支えだった人だって今はもう…
わしゃわしゃといきなり頭を触られ意識を思考から現実に戻すと流喜が悲しそうに笑って僕の頭を撫でていた。
「辛かったんだね、大丈夫だよ。俺がいるから」
さっきの馬鹿みたいに明るいあんたは何処行ったんだって聞きたい顔して慰めてくる流喜。
何でだろう、凄く嫌だ。無理。
「…やめて」
「やめてよ」
「やめてってば…」
これ以上されたら何かの間違いで泣いてしまう。それだけは嫌だ。
こんな会ったばかりの奴の前で弱さなんて曝け出したくない
そんな僕を察して、撫でていた手を暫く動かす事なく頭の上に乗せていた流喜は唐突に飲み物とってくる!何があるか分からないけど!と言いながら冷蔵庫のあるリビングへ向かっていく。
いやだから何で冷蔵庫の位置把握してんだよ…あほかよ…
そんな事を思えば涙も少しは収まり気分も落ち着いた。
最初のコメントを投稿しよう!