隠せぬ思い

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「僕はさ…自分に自信が無いんだ」 寝る体勢に入りながら何故いきなり人生相談を始めているのか一切理解不能な自分の脳に少し笑える。 それは流喜も同じなのかきょとんとしている。その顔も面白い。 「流喜は…ふぁ…」 名前を呼ぶと欠伸が出てしまい口を押さえる。 「流喜は、楽しい?生きるの」 「…ん?うん、楽しいよ?」 「そのよくわかんねぇみたいな顔やめようよ、笑う」 「…なんかあったの?」 流喜はコーラをベッドのサイドテーブルに置き隣に腰掛けてくる。 「大した事は何もないね、でも楽しい事もないね…」 思い浮かぶのはあの人の事。 僕を支えて、いつも守ってくれていたとても優しかったあの人。 「素直じゃ…なかったんだ、僕。今よりずっとね…だから、悔やんで、る」 眠くなってきて思わずぼーっとしてしまうせいか口から出る言葉は途切れ途切れで何だか笑えた。 段々と眠気に耐えられなくなり瞬きが遅くなると寝ていいよ!何もしないよ!と流喜が頭を撫でてくる。 不思議とさっきは嫌だったのに眠いからか撫でられるのが心地よくて、この手はいつかのあの人みたいだなんて思ってしまう。
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