隠せぬ思い

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目を覚ませば隣では寝息を立てる流喜が居た。いくら拾ってくれた相手の隣だとはいえ、流石に警戒心がなさすぎる。 もしかしたらお前の能力を利用しようと企む悪党かもしれないんだぞ? なんて過去の経験からか柄にもなく心配した。 過去 あぁ、なんて馬鹿なんだろう。 ふとさっきまで見ていた夢を思い出し自分を蔑んだ。 この拾った子犬が影響してあの人を思い出してしまった。あの人を思い出してしまったからには近々それ相応の罰が下されるだろう。 この子犬が悪い訳では無い、当たり前のように拾ってと言ってきた子犬を当たり前のように拾った僕が悪い。 僕は生まれつき人に対して危険だとか悪影響だとかそんな思考を持ち合わせていない。考える事も出来るけど結局の所結論はこうなのだ。 この身体で生まれてしまった以上大抵の事は気に病む必要が無い、と。 だってもしこの子犬が僕の手に噛み付こうが、その頭を切り落とす事は容易い。 きっと3秒もかからない。 だから拾ったら危ないとか、近づいたらまずいだとかそういう危機感がぽっかり抜け落ちてしまってるのだ。 それがアルビノにとって正常なのか、はたまた僕だけが異端な中でも極めて異常なのかはわからない。
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