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「どうです!!
一週間の間に人工知能が自分で工夫して、映像をレベルアップさせたんです!
もう少しデータが必要ですけどね。今、猿とか他の動物の育成ゲームも考えてます。
もしかしたら、人工知能にマイナンバーを付与したり、人工知能がSNSに書き込む時代が来るかもしれませんよ!
これが完成したら、様々な業界に売り込みをかけようかと思ってます」
ご主人は、興奮気味に語った。
ご主人…
セールスマンの才能も有るみたいね。
「完成したら私にも見せて下さい!約束ですよ」
と、私も笑うと…
「さぁ!ディナーの用意が出来たわよ!」
桂先生が、声をかけてきた。
「わぁ、凄い!」
私は、テーブルに並べられた料理の数々に歓喜の声をあげた!
「さ、召し上がれ」
先生が微笑みながら言う。
「はい!頂きます!」
私は早速、テーブルに着くと料理を次々と頬張った。
「美味しい!」
この野菜スープ!
絶妙な塩加減といい!
具材の、たけのこの食感といい…もう最高!
それに!
このハンバーグも美味しい!
ああ…
夢なら覚めないで。
『ガリ』
と…
不意に私は、奥歯で何か噛んでしまった。
見てみると…
ピアス?
「何で…ピアスが、ハンバーグの中に?」
このピアスって…
確か…
先月、認定証を貰って、料理学校を巣立って行った…
笹木さんが付けてた物に、とても似ているような気が…。
と…その時、
私の頭に
物凄く強烈な
『睡魔』が襲って来た!
え?
先生と、ご主人が…
笑っている。
不意に…
『嫌な想像』が頭の中をよぎる。
まさか…
このハンバーグのお肉って…。
確か…
笹木さんの本業は、猫カフェの店員。
そう言えば…
先々月、学校を巣立って行った東さん…。
彼女の本業は…ゲーム・プログラマー。
猫の育成ゲーム…。
ご主人が言ってた言葉…。
『もう少しデータが必要ですけどね』
私の本業は…
獣医………。
「いくら、科学が進歩したと言っても『無』から『有』は作れないんですよ。人工知能を作るにしても、天然の『タネ』が必要でしてね」
ご主人…
何を言ってるの?
薄れ行く意識の中…
私の頭の中に、
ドローンとした培養液の中に入れられた、三個の脳みそのイメージが浮かんだ。
…あーっ!!
ゆ、夢かぁーっ!
さ、覚めて…
良かった………。
【夢なら覚めないで】
END
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