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「お前、次の試合で負けたら、もう後がないぞ」
ジムの会長からそう宣告された二人のボクサーがいた。
所属ジムは別。実力は互角。熾烈な戦いを繰り広げ、二勝二敗のシーソーゲームとなっている。
拳を交える毎に、好敵手として密かに相手を認めていた二人は、奇しくもその"最後になり得る試合"の対戦者となった。
――いつも勝つことだけを考えて試合に臨んできたし、今度の試合だってそうだ。
だが、もしかすると次が最後の試合になるかもしれない。この試合でアイツに勝たなければ、俺のボクサー人生が終わってしまう。
――これは負けられない戦いだ。
俺はこの試合に全てを懸ける!
後に引けない戦いを前に、夏亥と巳冬は決意する。
それぞれが次の試合に勝つために、肉体を鍛え、厳しい減量に耐え、戦いに臨む者としてその心身を研ぎ澄ます。ここまでの心理や行動は、多少の相違はあれど、両者共にほぼほぼ変わらない。
だが、試合の一週間前、二人はその勝敗を分かち得る"ある人物"と出会うこととなった。
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