もぉ、どうしよう (続き)

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生まれて、27年。 俺は、やっとヘタレの重大な要注意点に気付き始めた。 その極意は、「流れ、特に大きな流れからは逃げなくてはいけない」。 なにせヘタレは、 気付いた時には、自分ではのっぴきならなくなるほど波に呑まれている。 そして、当然、そこから自力で脱出なんて無理。 つまり、流されるままになってしまう。 だから俺も、あの二度目の料理教室から数えること、三週間余り。 薦められるままに購入した十回綴りのチケットは、 既に残りが三枚という状況になっていた。 あっ、奥村さん、また会ったわね。 奥村さんって、熱心よね。 彼女、幸せねぇ。 あのパステルカラーの空間に立つ度に、こんな言葉が俺を掠めていく。
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