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コーヒーを淹れようとしていたお母さんは
その声で日本茶に切り替えたようだ。
手早くいれてくださったお茶を配り
早速包装紙を破るお父さん。
「今日は、彰吾はいないの?」
開けたどら焼きの箱をテーブルに置くと
一番に手を伸ばす課長が聞くと
「バイトですって。いつまでも学生気分で困るわよ。
就活だってまじめにやってるのか分かったもんじゃないわ」
課長の弟さんの彰吾さんは、なんと課長と9歳も違うらしい。
今は21歳の大学3回生。
来年卒業予定で、ただいま就職活動真っ最中らしい。
「美亜さんは、兵吾の会社の社長のお嬢さんとか・・・・」
お父さんもどら焼きに手を伸ばされている。
「はい、そうです。って言ってもつい最近知ったばかりですが」
言った瞬間、いらぬことを言ってしまったと後悔したけど
言ってしまった以上仕方がない。
父の浮気部分は省いて、説明をさせていただくと
「それはお父様も誤解が解けて喜んでおられるでしょうねぇ」
と、本日2個目のどら焼きに手を伸ばしたお母さんに言われた。
「そうですかね」
やっと、あたしも1個手に取ることができた。
「そうですよぉ。お正月はご実家には?」
まだ2個目が途中のお母さんが、もう一つ手に取ったのを見た課長が
「どうするの?」と聞くと、
「ご先祖様にお供えするのを忘れてた」
と、さささ~と何処かに走って行ってしまい
「ふふふ・・・・・・」
たまらず笑い出してしまったあたしでした。
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